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  • 執筆者の写真ジュエリー法務相談室

ジュエラーもここだけは押さえたい著作権法改正


「なんか著作権法がTPPの影響で変更になったらしい?」という質問がありました。


ジュエリーデザイナーや,ジュエリー作家のみなさんに最低限知っておいて欲しいことは,


保護期間が50年から70年に伸びた

これだけです。


(細かい改正は他にもいろいろありますが)さしあたりここだけ頭の片隅に入れておいて下さい。






改正前は,著作物の保護期間は,著作者の死後 50 年を経過するまでとされていました(改正前 51 条 2 項)。


それが,このたびの改正で著作者の死後 70 年を経過するまでとなります。


はい,ここで勘の良い方は疑問に思ったかもしれません。



Q え,じゃあ1960年代になくなったデザイナーの著作権は復活するの??


さすが鋭い!


つまり,1967年以前になくなったジュエリーデザイナーの著作権については,いったん改正前に死後50年の経過しているのですが,改正後の70年とすると,まだ経過していないことになるわけです。


どうしましょう??



答えとしては,死後50年経過でいったん消滅し著作者の著作物は,今回の改正でも復活しません。


よく挙げられる例としては,


谷崎潤一郎・江戸川乱歩〔1965 年没〕や,山本周五郎〔1967 年没〕などの著作権は,改正が施行される直前に著作権が切れたので,改正後でもパブリックドメインのままです(私の大好きな江戸川乱歩も,青空文庫でも読めるようになっています)。


なので,もし名探偵明智小五郎と怪人二十面相などから着想を得た指輪(例えば,明智小五郎がつけていそうな,K18のKOGORO AKECHIのイニシャル入りシグネットリングとか?)を作成されるのは小説としての江戸川乱歩の著作権を気にする必要はないと思われます(ただし挿絵や表紙イラストをデザインとして使う場合は別です)。



脱線しますが,シグネットリングってかっこいいですよね。


参考 FORZA STYLE  2018.4.2 https://forzastyle.com/articles/-/53550




また,改正前から公表後 70 年だった映画の著作物の保護期間についても,これまでどおり公表後 70 年のままです(54 条 1 項)。




もっと詳しく知りたいというかたは,文化庁ウェブサイトにまとまった資料がありますので,

こちらを参照してみてください。


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